未来派的「速度」と21世紀へのアヴァンギャルドの提案

1.速度の表現

1909年にフィガロ紙に発表されたマリネッティの「未来派創設宣言」の4項と8項では、「速度」について次のように言及されている。

 4項、咆哮をあげて疾走する自動車はサモトラケのニケより美しい。
8項、我々は時代の最先端の岬にいる。時間と空間は昨日死んだ。我々は偏在する永遠の速度を創造した。

この2つから導き出される、「速度」の美学の実践として、たとえばマリネッティは自由詩「ザン・トゥム・トゥム(ZANG-TUMB-TUMB)」の中で戦闘中の銃声の表現を試み、バッラは瞬間の表現を試みている。このように、芸術を通じて表される対象が「過去」に属するものから、「現在」起こっている現象へと近づいていったのである。それでは、未来派の芸術家たちは、なぜこのように「現在」に着目した制作を行っていったのだろうか。 “未来派的「速度」と21世紀へのアヴァンギャルドの提案”の続きを読む